当時、マリアはこの先の未来が光あふれるものであると確信した。王太子に言って、次はルネリアを消してもらおう。自分は未来の妃。妃に害のある存在は消されるべきなのだから。ルネリアが消えれば、親子として、完璧な、優しい愛のあふれる、不純物のない親子三人で暮らすことができる。そして最後には、愛した相手と結婚する。そう信じて。
しかし、現実はマリアの想像とかけ離れていたものだった。王太子は廃嫡され、平民に落とされた。優しい父と母も、田舎に放り出されることが決まった。本来ならばマリアもそのまま放り出されるところであったが、「腹に王太子の子がいる」ということで事なきを得た。王太子は驚いたが、思い当たることが無い訳ではなく、すんなりと信じた。
(このまま、平民に落とされるなんて、貧しい暮らしに逆戻りなんて絶対に嫌……!)
マリアは上りゆく太陽を睨むように顔を歪める。しかし突如扉が開く音がしたことで目を見開き、すぐに後ろを振り返った。
「おはよう、お嬢さん。ずいぶん目覚めが早いね。それとも一睡もできなかった?」



