ルネリアの言葉は、酷くマリアを苛立たせた。どうにかしてあの妹を屋敷から追い出せられないか。マリアが計画を練り始めた矢先、今度は王太子の婚約者がマリアのもとに現れ、「これ以上は看過できないわ。身を引きなさい」と、妹と同じ内容を口にしたのだ。
その時、マリアは王太子の婚約者である公爵家の令嬢が、ルネリアと重なった。「これ以上は良くない」という、今までは見逃してやったかのような物言い。自分の幸せを、愛する人との未来を邪魔する姿。目の前のこの女を、どうにかしてやりたい。ルネリアへの憎しみを公爵令嬢に注ぎ込むように、マリアの憎悪はその瞬間、公爵家の令嬢に向けられたのだ。
そしてマリアは、王太子を誘導する形で最も公爵家の名に傷がつき、その後の縁も望めないような王家主催の夜会の場で婚約破棄を王太子に宣言させ、自らを貶めたと嘘をつき、ありはしない罪で公爵家の令嬢を断罪させたのである。



