【完結】吸血侯爵と没落メイドの囚われ初恋契約


 王城の中、とある一室でルネリアの異母姉マリアはそう憎々しげに呟く。移送される村の準備が決まるまで城での折檻が定まっている彼女は、空が徐々に朝に焼けていくのを窓辺から見つめていた。

 そうしてマリアが思い返すのは今までの自身が受けてきた理不尽の数々だ。

 街で評判の踊り子である母のもとに生まれ、年齢を重ねるうちに自らのもとに、他人には当たり前にいる存在であった父がいない。母は自分を養うために毎日足を腫らしながら朝に帰り、昼に寝ては夜に仕事に行く。そんな母にどうして父親がいないのか尋ねれば、自分の父であるはずの存在は貴族であり、父は母と結婚しようとしていたのに、貴族たちの家族の都合で好きでもない相手と暮らしていると話をした。

「お父さんはね、ずっとマリアと会いたいと、私と暮らしたいと願ってくれているのよ。でも、それをお父さんのお父さんとお母さんが許してくれないの。だから今、お父さんは好きでもない女の人と無理やり住まわされているのよ」

 母は何度もマリアにそう言った。そうして、次にマリアを撫でてこう言った。