「俺は化け物だ。それに愛を持たない。注がれるはずのものが欠落した化け物の血を引く子供だ。だから貴女を守る権利なんてないのに、その権利を得ようとした。結果はただ縛り付けるだけ。役の一つにも立ちやしない」
「そんなことはありません。私は、グレン様のおかげで感情を知りました。それはグレン様の中に愛があるという証拠なのではないですか」
「俺の中に愛があるというのなら、それは俺のものじゃない……」
グレンがそっと、ルネリアに掴まれた腕に、自身の手を重ねる。そして縋りつくように、その手に力を込めた。
「貴女が、幼いとき、夜の庭園で出会った子供を覚えているか? 貴女が、まだ、五つか六つ程度の頃だ」
グレンの言葉に、ルネリアは自身の記憶を思い返す。当時、自分は夜の庭園で水やりをしていた。その時に人と出会うことなんて殆どなかった。誰かと出会っていれば、思い出せるはずと楽器の調律を合わせるようにルネリアは神経を研ぎ澄ませていく。するとある一人の少年の姿が、頭の中に思い浮かんだ。怪我をして、腕を血で染めた少年を。月が隠れた時とともに現れ、月明かりとともに去っていたその姿を。
「ええ。怪我をして、手当てをしようとすると」
少年は、それを拒絶した。放っておけば治ると言って。そして少年の言う通り話をしている間にも少年の怪我は治り、私が驚くと、少年は自分のことを。



