【完結】吸血侯爵と没落メイドの囚われ初恋契約


「呪い、とは」
「……吸血鬼が人間の心臓の近くの血を吸うと、相手を吸血鬼にすることが出来るというのは、本に書いてあっただろう?」
「はい。そうして吸血鬼は、子孫を残してきたのだと、読みました」

 ルネリアが答えると、グレンは「そうだ」と頷いて、先代と、そして夫人が描かれた肖像画を見つめる。

「それは遥か昔、始祖が吸血鬼と人間の愛の関係において、人間が圧倒的不利な立場に置かれるからと、自身に呪いをかけたことが始まりだったらしい。よって、この制約は吸血鬼の間では与えられず、吸血鬼と人間のみに与えられる。……未来永劫、血を吸った吸血鬼と、吸われた人間は互いの血しか求められなくなる。想い合うものたちで行われれば、永遠を約束される」
「永遠……」
「ああ。それまで互いにどんな痛みを、呪いを負おうとも全て癒され、ずっと二人で生き続ける。しかし、互いの血を得られなければ死に至る。その渇きは普段のものと異なり、喉をかきむしりたくなるような苦しみや痛みを伴うものだ」

 グレンは俯き、静かに目を伏せる。

「母が死んだのは、俺が四つの時だった」