【完結】吸血侯爵と没落メイドの囚われ初恋契約


 何でも知り合いに、メアロード領の古い名簿が必要なものがいて、古い名簿と今の名簿をどうしても見比べておかなければいけないらしい。場所は分かっていて、ただ忘れ物を取りに行くようなものだと説明したグレンの顔はどこか切なげで、ルネリアは同行をしたいと申し出て良かったと、心から安堵した。

「中はこうして何かを取りに来る以外、手入れをしていない。気を付けろ」

 グレンはルネリアに注意をしながら扉を開いていく。そこは、中の作りもメアロード城と同じような作りで、中央に階段があり、それが左右に伸びているものだった。

 グレンに誘導されながら書庫へと向かっていくと、ルネリアは視界に入ってくる光景に違和感を感じていく。足元に気を付けながら注視していると、色合いもさることながら、メアロード城にあるような薔薇や花々、蝶の細工が全くと施されていないことに気付いた。装飾自体は宝石などがはめ込まれ、豪華絢爛な作りであるのに、ただ宝石を愛でようとしているような、細工には全く興味がないような、そんな異様な雰囲気をルネリアは感じとる。

「ここが書庫だ。埃っぽいから気を付けろ、ハンカチで口元を抑えておけ。人間の肺に障る」