先代が失われたことで管理の手は外れ、今は廃城として森の一部として、もしくは森の主としてその場に在るだけの建物となっている。壁はメアロード城と異なり、まるで対を為すような白壁の作りで、その外観は縁取りを金であしらい王の住まう城を連想させる。
しかし長年人が手入れをせず、管理者であるグレンも積極的に動かなかったことでその城壁はくすみ、ところどころ植物のツタが伸びていた。
ルネリアは城を見上げ、主がいないというのになお精悍で、こちらに何かを強く訴えかけるような城の出で立ちをじっくりと眺める。
ルネリアが、グレンに同行を申し出た次の日の晩。二人は共にメアロードの廃城へと発った。廃城はメアロードの街の先。王都側に位置しており、ルネリアとグレンは山や谷を渡り、夜を超え朝日が昇る今、とうとうメアロードの廃城に到着したのだった。
「そうだ。中に入るぞ」
グレンの促しにルネリアは頷き、後に続く。グレンは馬車の中で、この廃城の書庫に用があるのだとルネリアに話をした。



