【完結】吸血侯爵と没落メイドの囚われ初恋契約


「泣かせてください。貴方の為に。どうか、お許しを……」

 グレンの身体を抱きとめるように、ルネリアはグレンの背中に手を回した。凍えるような体温がルネリアを包みこんでいく。しかしその凍てついた温度こそが、ルネリアには酷く温かく、熱を抱いているように錯覚するほどであった。

「ルネリア……、すまない……。すまないルネリア……、俺は……。すまない……」

 グレンは、幾度となく謝罪を繰り返す。そのたびにルネリアは、否定の意味を込めて腕の力を強くする。そうして二人は離れることなく、互いに縋るようにしていつまでもそうしていた。





「ここが、旧メアロード城なんですね……」

 辻馬車から、グレンに続いてルネリアが降りていく。目の前に広がるのは、自然豊かな森を従えるようにそびえ立つ旧メアロード城だ。