【完結】吸血侯爵と没落メイドの囚われ初恋契約


 でも今、グレンへの想いによって、ルネリアの中で躊躇いが完全に決壊し、杯に注いだ水のようにそれらは溢れ、ルネリアの言葉となった。

「私は貴方にとって、脆い存在なのかもしれません。でも、貴方の痛みを、肩代わりさせて頂くことは出来ませんか、どうか傍で貴方が痛んでいることを、私が知っていてもいいですか」

 ルネリアの瞳に、涙が浮かびそれらが筋となって光を纏い、零れ落ちていく。それは今までルネリアがどんなに虐げられようと出したことのないものであった。その涙が今、雨のようにルネリアの瞳から溢れていく。その姿を見てグレンは顔を歪めながらルネリアを抱きとめた。

「俺なんかの為に泣くな……!」

 喉を振り絞るような声が、ルネリアの耳に響く。力の籠った声だった。その声は怒りに満たされたものではなく、どこまでも優しいもの。その声で、またルネリアの瞳から雫が落ちる。