しかし、この世のもの全て、どうでもいいと思ってしまう状況の中で、グレンはルネリアに優しくあった。グレンがどういった感情から、自分にここまで優しくするのは今でも分からない。けれど今グレンがルネリアを避けているのは、自らの出自により人と関わることに怯え、そして、人を傷つけるからと避けているのだとルネリアは分かった。
だからこそ、ルネリアはグレンの手を取りたいと願う。一人で傷ついた悲しみの淵にいるのなら、隣にいたい。可能ならば、共にその傷を受けたい。そう願って、ルネリアはグレンの前に立っている。
「私は、メアロードについて、グレン様について調べました。けれどそれは本だけの知識です。実際に見たわけではありませんし、それらで読んだ吸血鬼と、グレン様は違う。同じであったならきっとグレン様は泣いたりしません。私なんかの為に。だから私は、グレン様を知りたい。勝手ですが、グレン様を一人にしていたくないと、私は今思っています」
ルネリアは、自分の痛む胸を押さえながらグレンに気持ちを伝えていく。まだルネリアの頭の中では、自分の感情に対しての混乱の渦を巻いている。自分の気持ちをちゃんと伝えられているのか、もっと適した言葉があるんじゃないか。迷いながら、言葉を選んでいく。



