ルネリアは、疑問に思っていた。自分の役に立てないと泣くグレンがなぜ今、辛そうにしているのに涙を流さないのだと。
考えるにつれ、グレンは自分の為に泣くことは出来ないのだと思い至った。そうしてグレンについて考えるたびにルネリアは胸が痛んだ。
「……グレン様のお母様の日記を、勝手ながら読ませていただきました。あの廃城で、なにがあったのかも、読みました」
グレンはは大きく目を見開き、ルネリアを見た。
ルネリアが図書館で読んだのは、グレンの母親である夫人が、グレンの父親である先代の当主を殺し、自分もその命を絶ったということだった。
二人はある契約により、一蓮托生と同義の運命を辿ることを定められていた。しかし夫人は先代を憎み、その契約に違反することで先代を殺した。グレンの言っていた、グレンと夫人の関係がどういったものであるかも、夫人と前当主の関係について知ればルネリアは何となく想像が出来た。それは、何となくで思いついてしまうほど残酷で、凄惨な事実だったからだ。



