【完結】吸血侯爵と没落メイドの囚われ初恋契約


 現在の状況に対して、ルネリアには思うことがあった。以前の彼女ならば特に人と接することを求めておらず、食事を一人でとることも平気であった。グレンの作り置きは温かくしてあり、丁寧に作られ決して残飯などは入っていない。

 それなのに一人で食べる料理はハーミットの家を思い出し、楽しみであった食事の時間に対して気後れするようになったのだ。よってルネリアがグレンに対してきちんと接することが出来るのは、仕事の申し付け、それか入浴時の風呂場の鍵の受け渡しのみであり、この状況を変えるにはそのタイミングで行動を取ればいいと考えたが、碌な人間関係を築いてこなかった彼女には、かける言葉が見つからなかった。

 そうして、小屋での晩を過ぎてから十日。ルネリアはグレンにかける言葉のヒントを見つけようと、行動を起こすことにしたのである。

 ルネリアの行動とは、城にある書庫を調べることであった。今まで彼女は少しずつグレンに清掃の仕事を任され、風呂場と厨房以外は日替わりで各部屋の掃除を任されている。しかし一つだけ、入るなとも、掃除をしろとも命じられない奇妙な部屋があった。