驚異的な動きの速さ、キャロラインの言っていたグレンの力の意味……。
ルネリアは、童話で読んだことのある存在が目の前にいると、グレンがそれであったのだと確信した。そうして、ルネリアとグレンの視線がぴったりと重なる。ルネリアは動くこともできず、ただじっとグレンを見つめる。
「グレン……さま……」
「……ルネリア」
グレンは表情無くルネリアのもとへ一歩一歩近づいていくと、ルネリアを小屋の中に入れるようにしてその扉を閉じ、何かを諦めるように彼女を見下ろした。
「……言い訳をしたところで、それは通用しないんだろうな」
グレンの自嘲するような声色に、全てに対しての肯定であるとルネリアは察した。そして、疑問を嵌めるようにルネリアはグレンに問いかける。
「以前、キャロライン様が話をしていた力というのは、吸血鬼の力……なのですか」
「ああ」
グレンは頷き、さっきまで絞っていた人間の足を、麻袋へと投げやりに戻した。



