きっと今からグレン様は牛や豚などをしめる作業をするのだろう。手伝いを申し出なければ。
そうルネリアが部屋の中にいるグレンに声をかけようとしたその時だった。
グレンが、袋からその「もの」を取り出す。そして、壁にかけてあった包丁でそれを切り裂き、そこから出てくるおびただしい量の液体を樽の中に納めていく。
それは、豚でも、牛でも、ましてや鶏のものでもない。自分や、そしてグレンにも生えているような……人間の足だった。そこから溢れる血液を、グレンは樽に流し込んでいく。そしてひとしきり絞り終えると、脇に置いてあった杯ですくい、まるで水を飲むかのように胃袋へと流し込んでいく。
きっと、これは見てはいけないものだ。ルネリアはそうはっきりと直感しているのに、グレンから視線を逸らすことが出来ない。やがてグレンは杯を置き、大きくため息を吐くと何かに気付いたように素早い動きでルネリアの方へ振り向いた。
「ルネリア……っ」
グレンの瞳は紅く光って、ルネリアを射抜く。そして開かれた口から覗く歯は、牙のように鋭く変わっている。その牙を見たとき、ルネリアの頭の中でひとつひとつ欠けて、形の向きが変えられていたものが正しく戻り、ぴったりと当てはまっていく。



