(……小屋に、行ってみようか)
水面に一滴が落ちるように、小屋へ向かう気持ちが芽生え始める。そしてその雫によって水面が波紋を作っていくようにルネリアの心はさざめいていく。
中を確認して、またグレン様が血に濡れているようなら手拭いと水桶を持って行こう。
ルネリアは思い立ち、小屋に足を向けていく。さっきまで辺りを照らしていたはずの月は雲に隠れ、夜道を照らすのは城の周りに点々と置かれた松明の灯りのみ。ルネリアが小屋に近づき、その扉に手をかけると、小屋の扉は僅かに開いていた。
忙しい時に、集中している作業の時に入ってはいけないと、わずかに隙間を作り、ルネリアはそっと中を覗く。小屋の中は、その見目と変わりなく中も簡素なものだ。棚には剣や包丁、ナイフや斧などが壁にかけられ、部屋の真ん中に位置する机には豚の頭や牛の皮などが乱雑に置かれていた。
(まるで、牧場の一角みたい)
おそらくここは、グレンが買ってきた豚や牛などをしめる場所なのだろう。血に濡れていたのはそういった理由なのかもしれない。ルネリアは違和感を覚えながらもそう結論付ける。やがて視界の隅からグレンが現れ、何やら袋から物を取り出そうとした。



