【完結】吸血侯爵と没落メイドの囚われ初恋契約


 きっとグレンの態度は、キャロラインが訪れた時のあの会話に起因しているのだとルネリアは思う。その確証を深めるのは、ルネリアがグレンの仕事に対して何も知らないという事実だ。

 グレンの仕事は、国境を守ることである。この国に攻め入ろうと他国が考えたとき狙うのは海に面したこのメアロード領か、隣国と面したメアロードとは正反対の西、そして地続きになっている北の豪雪地帯リグウォン、そして南の独自文化で発展している領域シャイルリードだ。

 だからこそ、メアロードは軍を持つことが許可され、王都から予算を受け領地を整備している。要は人の前に立つのが必然とされる権威と立場を持っている。

 だが、グレンは今のところ城に誰かを連れてくる気配はない。昼の決まった時間にどこかへ出発し、夕刻に帰ってくる。そして時折血の匂いを纏わせ帰ってくる日が、四日に一度。そしてその日は必ず城に帰ってくることが早く、城の裏手にある小屋に一度寄ってから城に戻り、次の日に綺麗に洗われた麻袋が干されている。

 それは、キャロラインの話すグレンの力に関係があるのだろうとルネリアは目星をつけた。けれど、グレンに問うことをルネリアはしない。ただグレンが話をするなら聞きたいと思うし、知りたいと思う。だからこそルネリアは、グレンの態度が歯がゆく感じていた。