【完結】吸血侯爵と没落メイドの囚われ初恋契約



 キャロラインが屋敷に訪れて、三日が経ったころ、ルネリアとグレンは相変わらず夕食を共にしていた。

「もうすぐ、冬が訪れるな」
「はい。寒くなってきましたし、空気も澄んできました」

 基本的に、ルネリアとグレンは食事中、あまり会話をしない。グレンの仕事上なにかしらの連絡がある時、例えば帰りが遅くなったりする場合はそれとなく申し付けたりする程度のことだ。

 それ以外は基本的にグレンが「今日は昼、雨だ。足元に気を付けろ」「今日は晴れだ、水をよく飲め」「午後は冷えるぞ、着込め」といった天気についての話題をルネリアに振り、ルネリアが返答して会話を終えるような、簡素なものである。

 しかしキャロラインが城に訪れてからは、輪をかけて会話が簡素になっていた。それは、主にグレンがどこか考え事をしていることが増えたからであり、どことなく何か悩みを抱えているようであるということにルネリアは気付いている。だが、一介の使用人である立場上、いくらグレンに恩があったとしても、ルネリアは容易く口に出してはいけないと考えていた。

――グレン何なの? 突然力使いだしてさあ――

――黙れキャロライン、その話をここでするな――

――えっ、何で?――

――それは軍部の機密事項だ。ルネリアが知れば、ルネリアの身が危険に晒される――