【完結】吸血侯爵と没落メイドの囚われ初恋契約


「ねえ、あの子に何で話さないの? っていうか結婚しちゃえばいいじゃん」

 キャロラインはきちんとルネリアが去ったのを見計らってから、階段を下りてきたグレンに問いかける。その言葉にグレンは遠くを見ながら答える。

「いずれ分かつ道、そんな必要はない」

 グレンは振り返り、階段を見つめた。二階へと繋がる階段は照明に照らされ、陰影がはっきりと浮かび上がっている。しかし自分の立つ場所は照明がないことで陰影がなく影に染まり、階段のほうから照らされる光によって、ようやく曖昧に物の判断が出来るほどに薄暗い。

「でも、ずっと一緒にいたほうが、あの子も安全なんじゃない? さっき話した通り、王家はまだ駄目みたいだし、あの子に話をしてさ、一緒に……」
「馬鹿を言うな、人間と暮らしたほうが安全に決まっているだろう、本当なら俺なんかが……!」

 俺なんかが、その先の言葉を紡ぐことは無く、グレンは顔を歪める。そして言葉を続けることは無く、キャロラインに「行くぞ」と声をかけ、客間へと戻っていった。