【完結】吸血侯爵と没落メイドの囚われ初恋契約


 ルネリアの言葉に、グレンはほっと息を吐いた。ルネリアがグレンの顔を見ていると、不意にグレンの瞳が僅かに光っていることに気づく。まるで意思を持ち発光しているかのような眼差しに、ルネリアが注意深くグレンを見ていると、さきほどグレンが現れたところからキャロラインが遅れるようにしてやってきた。

「グレン何なの? 突然力使いだしてさあ」
「黙れキャロライン、その話をここでするな」
「えっ、何で?」
「それは軍部の機密事項だ。ルネリアが知れば、ルネリアの身が危険に晒される」

 グレンの強い口調に、キャロラインが驚くように目を開いて、言葉を発したグレンではなくルネリアを見た。

「えっルネリアちゃん、もしかして何も知らないの?」
「そうだ。ルネリアは侍女だ。軍部の情報を与えるわけにはいかない……ルネリア、今聞いたことは全て忘れろ、今すぐ部屋へ戻れ」

 いつになく焦ったグレンの言葉に、ルネリアは素早く頷いて階段を上がり、部屋へと戻っていく。そしてグレンはルネリアが階段を上がっていくのを見届けてから、暗闇に身を沈めていくように階段を降り始めた。