とっさに手すりをつかもうとするが、ルネリアの手は届かない。そのまま重力に逆らうことができずルネリアの体が傾いていくと一階の階段脇の廊下から黒い影がルネリアのもとへと凄まじい勢いで迫り、ルネリアを繋ぎ止める。
「大丈夫かルネリア」
「グレン様」
落ちそうになったルネリアを、背後から抱き留めるようにしてグレンが支える。グレンの心臓が激しく脈打っていて、ルネリアはグレンが急いで飛んできたのだと理解した。
「あ、ありがとうございます」
「気にするな。お前が無事ならいい。お前の呼ぶ声が聞こえて飛んできたが、気のせいだと思わなくて良かった。本当に良かった。……良かった」
グレンはルネリアを抱え、踊り場に立たせる。そしてルネリアの姿をまじまじと見つめ「怪我はないか?」と短く問いた。
「はい、グレン様のおかげで何事もなく……」
「そうか。ならいい」



