貴族間の中では廃太子と男爵令嬢の近況は話題性があり、何か動きがあるたびに表紙の一面を飾っている。朝届く新聞をルネリアがグレンへと届ける際、ルネリアはその表紙によって、異母姉と廃太子の情報を得ていた。
そうしてルネリアが異母姉と元王子について知り思うことは、特になかった。自業自得だと思うこともなければ、同情もしない。ルネリアにとって、新聞によって家族の情報を得ることは、何か膜を通して知るような、現実味を帯びない手段であったからだ。
ルネリアの父であるハーミット男爵が後妻にと妾とその娘、マリアをルネリアと住んでいた屋敷に伴いやってきたのは、ルネリアの母が死に丁度半年が過ぎた頃であった。それまでルネリアの父は元々屋敷に帰ることは殆どなく、ルネリアの母が病床に伏してもそれは同じだった。
だからこそ、ルネリアの心の中の両親への比重は母が圧倒的に占めていたが、母が死に、ルネリアは父を求めるようになっていた。
しかしそんなルネリアを嘲笑うかの如く、男爵は後妻と娘のマリアを迎え入れたのである。継母は前妻の子であるルネリアの存在を心から疎み、そしてマリアは自分だけの父であったはずの男爵に、自分と愛情を分かつ存在であるルネリアが存在したことに怒りを持ったのだ。



