【完結】吸血侯爵と没落メイドの囚われ初恋契約


 しかしグレンが、自分になりたい、自分の役に立ちたいと泣いた姿。あの姿をルネリアが思い返すたびに、マリアと継母、そして父からの仕打ちについて、自分は酷く嫌なことをされていたのではないかとルネリアは考えるようになっていた。

 元よりルネリアは継母や異母姉、父らの態度は酷いものという認識はあったが、そういったことをされるのは自分が嫌な人間だから、自分が駄目だからだと考え仕方のないことだと思っていた。しかしグレンと過ごし彼が泣く姿を見てから、自分はただ不当に暴力や侮辱を受けていたのではないかと、ルネリアはそう考えるようになった。

 例えばもし、グレンや他の子どもが自分と全く同じ境遇であったのなら、ルネリアはグレンや他の子どもに対して「あなたは悪くない」と伝える。しかし今までのルネリアは、自分が悪いのだと思い込みもし「あなたは悪くない」と言う者がいたとしても「そんな訳がない」と相手の言葉を心の中で切り捨てていたことだろう。そんなルネリアの曖昧な矛盾のある思考を、グレンの涙を見たことでルネリアははっきりと自覚したのだ。

 そうしてある種冷静になったルネリアは、異母姉や継母、父についてなぜ自分がああいった扱いをされていたのか、疑問を感じるようになった。

 手っ取り早く解決するには暇を貰った時に会いに行くことであるが、ルネリア自身そうまでして会いに行きたいとは思わない。

 ただこうして考えているだけでも、いつか充分な答えが得られる気がして、ルネリアは考え続けている。それに継母と父の動向はともかく、異母姉についての動向をルネリアは新聞によって知っていた。