【完結】吸血侯爵と没落メイドの囚われ初恋契約


 そのまま二人で共に玄関ホールに向かい、グレンはルネリアに階段の裏へと隠れるよう指示し、ルネリアが隠れたのを見計らって自分は玄関扉の影へと隠れた。グレンが剣を構えていると、扉が開く。

「グレーン! 遊びに来たよー! それとお詫びー!」

 暗い闇夜から、華やかな色合いのドレスと帽子が現れる。そして、それらに負けないほどの可憐な笑顔で、メアロード城に訪れたキャロラインは、紙袋を掲げたのであった。



「はい、これ王都で流行ってるお菓子でーす! どーぞ!」

 ルネリアが部屋の隅で二人が飲むお茶を淹れていると、客間のソファに座ったキャロラインが両手で紙箱をグレンに差し出す。メアロードの城の客間は元より主以外の来訪を想定せず、もしもあるならばそれは密談の為。よってその作りはどの場所よりも簡素だ。

 中央には机が置かれそれらを挟むように置かれたソファのみ。豪華な設えも装飾もない。机を挟んだ向かい側のソファ座るグレンは、疲れ切った瞳で紙箱を受け取ると端に置いた。

「えー! 開けなよー! おいしいよ?」
「煩い喚くな。俺は疲れているんだ」

 グレンの疲れは、言わずもがなキャロラインである。先刻までキャロラインを城に入れるか入れないかでひと悶着があり「用事があって来た」というキャロラインにグレンは「なら明日にしろ」と答え、キャロラインを扉ごと押しつぶすようにして城から追い出そうとした。しかしキャロラインもそれに反発し、扉を挟んだ猛攻が繰り広げられていったのだ。