【完結】吸血侯爵と没落メイドの囚われ初恋契約


 それが街の者からの血税であるならばまだ誰かが止められ、そしてルネリア自身も強い拒絶が出来ただろうが、そもそもグレンはそんなことを良しとしない。

 グレンの資金力は、グレンの戦いでの報奨金によるもので、いわばメアロード家の資産ですらなくグレン個人の資産だった。グレンが己の力をいかんなく発揮し、その命を使い得たもので、今まで何にも興味がなかったために貯まり続けた、いかにグレンが人として欠陥があるかを証明する遺産である。「俺が戦いで得たものだ。俺が好きに使う権利がある」といえば、使用人であるルネリアはもう口を開くことは出来なくなってしまうのであった。

 そんなグレンであるが、ルネリアと出かけたとき、そのままどこにも寄らず帰ってきてしまったことに対して、今だ大層落ち込んでいた。そしてルネリア自身が「街をグレン様と見ることが出来て嬉しかったです」と心から考え、それを態度で示していても、どうしてもその落ち込みは解消されることがない。

「生きていきたくない……」

 グレンがぼそりと呟く。グレンはある体質上、極めて自死が困難である。グレンはそれをきちんと認識しているが、ルネリアに対して情けない姿を見せ、気持ち悪がられたかもしれないという可能性だけでそれを求めてしまうほど、グレンの中でルネリアへの想いは強い。

「誰か殺してくれ……」