グレンは当初、ルネリアに指摘されるまで、自分が涙を流していることに全く気付いていなかった。
グレンは生まれてから、グレンの生きてきた中で最も最悪であったと言える日……十八年前のあの春の日以降、涙を流したことはただの一度もない。どんな痛みに襲われようと苦しめられようと、そして十八年前のあの日を思い出そうと、涙を流すことはなかった。
涙を流す感覚すら分からず、目元が濡れているときの風の冷たさや、目頭が熱くなる感覚も鈍く、ルネリアに頬に触れられ、直接伝えられるまで分からなかったのだ。
だからこそ、いつから自身が泣いていたのか、さっぱりグレンは分からなかった。
キャロラインが居たときに泣いていれば、キャロラインは即座に自分を見て笑うか驚くか、大きな反応を示していたはずだ。だから、自分とルネリアがキャロラインの元を去って、ルネリアに指摘されるまでのそのどこかから自分は泣いていたのだろうとグレンは考えたものの、それからはどう考えても思考は最悪なものに落ち着くばかりだった。



