ルネリアが、不安げにグレンを見つめる。キャロラインと別れる直前、ルネリアが自身の腕を掴んだグレンを見たとき、彼女はグレンが傷ついたように見えていた。
そして腕を取られ連れ去られていく時も、わずかに伺うグレンのその横顔は酷く痛むような、苦しむような顔をしているように感じた。
(怪我をするような素振りはどこにも見受けられなかった。キャロライン様の言葉に傷ついた様子でもなかった。ならばグレン様は、どこか体調が悪くなってしまったのだろうか)
ルネリアはそう考え、グレンが立ち止まるまでずっとその体調を案じていた。そんなルネリアの労りの言葉に、グレンはその瞳を驚きで揺らしていく。
「わ、私は別に、何ともない。何故お前が心配する」
「どこか痛むように見えまして……あの、どうしてもグレン様が何かご必要なものでしたら、私がお引き受けいたしますので、グレン様はお帰りになられたほうが……」
ルネリアの言葉に、グレンは静かに想いが積もっていくのを感じた。自分は、ただキャロラインとルネリアを引き剥がすことを考えていた。それはルネリアが傷ついていたからに他ならなかった。が、傷ついたルネリアを振り返ることなく、ただ引き離すのに夢中で半ば連れ去りのような真似をした。
しかし、ルネリアはその間、腕を取られ引きずられるようにしながらも、ずっと自分の心配をしていたのか。グレンの心に、ふつふつと湯が煮えるように罪悪感が沸き立っていく。するとルネリアは不安げな瞳をさらに揺らめかせた。



