【完結】吸血侯爵と没落メイドの囚われ初恋契約


 笑みを浮かべ「他の令嬢が」「憧れのグレン様」と強調して話すキャロラインに対し、何か良からぬことを、ルネリアを傷つけようとしているのではないかとグレンが警戒する一方、ルネリアはキャロラインの話に対して、真逆の感想を浮かべはじめていた。

 ルネリアはグレンに対して初めて会った時、恐怖を抱いていた。しかしそれはグレン自身に対するものではなく、主に契約を途中で切られたらどうしよう、初めて掴んだ仕事を離したくないという状況的な要因から来る不安によるものだった。

 そして契約が突如改定され、初めほど解雇の不安がない今、ルネリアは冷静にグレンを見ることが出来ている。そうして見たグレンへの印象は「目が悪い優しい人」というものだ。

 グレンは元より目つきが鋭い。それに輪をかけるように、ルネリアの前では顔がにやけないように、気味が悪く思われないよう眉や口角に不必要に力を入れ、まるで敵のようにルネリアを睨んでいる。

 ルネリアはそんなグレンの視線に対し、彼自身からかけられる言葉の印象と合わせ「グレン様は視力が悪い」という答えを導き出していた。