◇紅魅said◇

「ん、これに乗って」

「自転車……?」

言われた通り後ろに乗ると、自転車をこぎだした龍牙。

「危ないから、掴まってろ」

私の腕を引いて、ぎゅっと抱きつかせた。

っ……ち、近い。

もう春も終わるこの頃。

夜風が、ちょうどいいかも。

「ねぇ、どこに向かってるの?そっちは山だよね?」

「いーから、着くまでのお楽しみ」

またごまかされる……。

やがて森の中に入って、車が走れる道路を自転車で登っていく。