俺が……俺が離れずにそばにいることができたら、もうちょっと和らいでたのかな。

もっと、吐き出せてたのかな……。

そばに、いたかった……。

「龍牙くん、紅魅のことなんだけど。本当は今回来た目的はもうひとつあったんだ」

「もうひとつですか?」

「あぁ。もしも龍牙くんが紅魅と付き合えていなかったら、俺は紅魅を向こうに連れていく気だった」

え……。

「あの時、約束したからね」

……そう。

あれは、遡ること秋良さんが久しぶりに家に来た日。