目を開ければ……。

現実を見せられるような、お墓しかない。

「……紅魅、本当は父さんな、母さんから預かってたものがあるんだ」

「え……?」

はい、と渡された手紙。

「手術の直前に、母さんが書いたらしい。病室の片付けをしてたら見つかった。お前宛てだよ」

「……お母さん、から?」

手紙が入ってる封筒には、“紅魅へ”と書かれていた。

お母さんの字……。

「じゃあ俺らは車に行ってるね」

「そうね。行くわよ秋良」

「へーい」