胸が、痛い……っ。

「お母さん、私のこと忘れたままっ……病気で亡くなったの……っ」

「……うん」

「お姉ちゃん、もっ、……学校帰り、交通事故で亡くなって……っ。今でも、受け止められな、くてっ……」

「……ん」

龍牙が優しく頭を撫でてくれる。

抱き締めてくれる腕も、あたたかくて。

「怖く、て……っ」

「うん……」

「もう、味わいたくない……っ。大切な人がいたくなる痛みなんて、もう……っ」

「……大丈夫。俺は、紅魅のそばにいるよ」

ぎゅっとさらに抱き締められる。