「……愛してる、紅魅」

「ねぇ龍牙」

私は龍牙をそっと見つめた。

「龍牙だけは……消えたり、しないでね」

ふと思ったこと。

私が大切に思う人は、みんな消えてしまった。

お母さんも、お姉ちゃんも、お父さんだって今離れてる。

「……当たり前。でも俺、紅魅の抱えてること知りたいから……いつか、話して」

龍牙はずっと、優しい。

たまに、私のために心配して怒ってくれたりするけど、それも嬉しくて。

「……うんっ」

「じゃ、そろそろ優と花蓮のとこ行くか」

私たちは椅子から降りて、図書室を出た。