幸せな時間は、あっという間に崩れた。


あれは、俺らが7歳の時。

いつも通り家に帰ると、両親がダンボールに物を詰めていた。

「なぁ、なにしてんの?」

「龍牙……すまないが、父さん本社に異動することになってな。隣街に引っ越すことになったんだ」


一瞬、何を言ってるのかわからなかった。

でも、紅魅と離ればなれになるっていうのはすぐにわかった。

「実は紅魅ちゃんのところも異動が決まってね。だからお互い、離ればなれになってしまうの……龍牙、ごめんね……」

紅魅も……。

俺は翌日、紅魅と紅魅の部屋にいた。

俺も紅魅も、無言。