震える声でそう言えば、こくんっと頷いた。

「あのね……私、思い出したの。なんで龍牙のこと忘れちゃったのか」   

「え……」

ぎゅ、と俺の袖を掴んだ紅魅。  

その仕草に、ドキッと胸が高鳴った。  

「レイプ、される時ね……媚薬を飲まされたんだ。その媚薬、身体を感じさせる強力な成分があって。強力すぎて、大事な記憶が亡くなってしまう成分なんだ」

身体を感じさせる……。

媚薬を飲まされれば、誰だって感じてしまうだろう。 

「でも私、感じなくて。なにか大事なことを忘れてるってすぐに気がついた。だけど、思い出そうとするうちにまた犯されて……」

震えてる紅魅をそっと抱き締めた。

「……俺、思い出してくれただけで嬉しい。こうして、紅魅と結ばれてるだけで、もう幸せだ」