「悪いお前ら、ふたりだけで語ってろ」

「「ちぇ……」」

「紅魅、行くぞ」

俺は部屋を出てドアを閉めた。

「……海行くか。静かだしな」

「うん」

あー……さっきまで紅魅が着てた水着姿が脳裏に浮かぶ。

くっそ……抱き足りねぇな。

紅魅の手を握りながら海に行くと、思った通り静かだった。

「で、俺に用事があんだろ?なに?」

「あ、うん。あのね、渡したいものがあるんだ」

ずっと後ろに隠してた手を前に出した。

その手には、大きくて綺麗な貝殻があって。

俺はいつかの、紅魅と来た海の日のことを思い出した。