……小さい頃、一度だけ龍牙と海に来たことがあった。

それで、大きくて綺麗な貝殻を見つけた私は龍牙に渡したんだっけ。

「懐かしいな……」

「ふふっ……紅魅は、本当に龍牙が好きなんだね」

一人言を聞かれてしまい、照れくさくなった私。

「……私の、王子様でもありヒーローでもあるから」

「ふふふ、まぁ確かに!」

これ、あとで龍牙に渡そう。

それからは、晴夏と水の掛け合いっこをしながらはしゃいだ。

龍牙が愛しそうに私を見てたことも知らずに。