そして、私たちは初めてキスをした。

全部、思い出した……。

ゆっくりと唇が離れた。

「……紅魅?泣くほど、嫌だったか?」

そう、優しく聞く龍牙。

っ……ねぇ、なんで……っ。

「なんで、何も責めてこないの?なんで、記憶を忘れてるのに優しくしてくれてたの?」

そう聞けば、目を見開いた龍牙。

「っ、紅魅、まさか……」

「全部、思い出した……っ。龍牙は、なんで何も責めてこないで優しくしてくれてたの?
私、忘れてたのに……っ」

「そんなの、好きだからに決まってんだろ?
好きだから、紅魅はまた俺のこと好きになってくれるって信じてた!忘れてるなら、記憶を思い出させるまでだって……」

苦しそうに吐き出した龍牙。