今、紅魅に記憶が戻っても、さらに恋愛対象として見られなくなるだけなんじゃないかと思う。

俺って、変なとこ意気地無しだよな……。

「……紅魅、寂しそうな顔してたぞ！」

俺の目の前にドスッ！と座った優。

「……紅魅は？」

「下でまだ特訓。楽斗が付き合ってる」

ん、と缶コーヒーを渡された。　

「サンキュ」

「なんで言わなかったんだよ……。紅魅、思い出してたかもしんねーだろ」

「……言えなかった。俺って、変なとこ意気地無しだからさ……。ただでさえ、今イライラさせちゃってんのに」

「紅魅もヤキモチ妬いてんのに認めねーのなぁ。あんな分かりやすく嫉妬してんのに。俺らがわかってないと思ってよ」