好きだった同級生に告白された

 さて、と菊池さんが本田くんに向き直りあざといくらい可愛く微笑む。そうするのが当たり前とでも言いたげに彼の腕に身を押しつけた。

「本田くんはまゆかに何を命令するの?」
「そうだなぁ」

 本田くんが中空に目をやった。うーむと小さく唸ってさり気なく菊池さんから腕を離す。

 彼は横目で私を見てきた。

 どきりとしてしまい私は目を逸らす。視線を向けた先は無人のステージだった。

 誰もいない場所に天井からのスポットライトの光が落ちて少し寂しい雰囲気を作り出している。

 本田くんが私の視線を追ってきた。

「大野」

 彼が言った。

「デュエットしよう」
「えっ?」