弁当を食べて満腹ってのも嘘じゃない。

おばあちゃんに頼んで、いつもより量を多くしてもらったから。


ただ、血がのどを通らないだけ。


できるだけ飲んではいるけれど、無理に飲むと戻してしまいそうで。

そうなると千冬に申し訳ないから、体が受けつけられる量を飲んでいる。



「本当大丈夫かよ。やっぱこの前、無理矢理吸血したのが悪かったんじゃ……」

「大丈夫だって。マズく感じるだけで、別に害があるわけじゃないから」



腰を上げて校舎へ戻る。

無理矢理吸血したというのは……先週、沢村先輩の血をがぶ飲みしたことだ。



『大切な幼なじみを傷つけた罰です』

『ちょっ、放せっ……うあぁぁぁぁ!』



吸血部屋に彼を連れ込んで、半ば強引に腕に噛みつき、顔が青白くなるまで血を吸った。


ひたむきに頑張ってきた風花の純粋な心を利用して、ボロボロに傷つけた沢村先輩。

同時に翼のことも傷つけたため、いてもたってもいられなかったのだ。