えええ? テレビのためにわざわざ?

だったらさっさと帰ったほうがゆっくり楽しめそうなのに……。


男の子にお礼を言って、1階奥の視聴覚室に向かう。

ドアの小窓から中を覗くと、茶髪の男の子が席に座っているのが見えた。



『翼……?』



そっとドアを開けて呼びかけてみたけれど、反応がない。

机に突っ伏してるし……寝てるのかな?



『おーい、起きてる? 帰ろう?』

『……』

『翼! 起きて! 千冬も待ってるよ?』

『……るせぇ』



体を揺すって起こすも、起きる気配はなく。


今、うるさいって言った……?

荷物をほっぽり出した上に心配までかけて、「うるさい」だって⁉



『ちょっと! 起きてよ! もうすぐ学校終わるよ! このまま学校に泊まるつもり⁉』



ここで無視したら外で待ってる千冬に申し訳ない。なにがなんでも連れ出さないと。



『もしかして具合悪いの? だから寝てたの? っていうか、なんでここに……』

『うるせぇつってんだろ‼』