肩を上下に揺らして呼吸を整える。


なんか周りの生徒達にチラチラ見られているような……。

あぁそうだった。この人、超エリートのお坊っちゃんだったっけ。

久しぶりに会ったもんだから、身分の差があったことをすっかり忘れてた。



「それなら電話しましょうか？　これ以上走り回るのはきついでしょうし」

「いいんですか……？」



ありがたい提案を出してきた沢村先輩。


二つ返事でお願いしたいけれど、勝手に番号を教えるのはなぁ……。

知り合いとはいえ、嫉妬してる相手だし……。


迷ったが、「履歴は消しますので安心してください」と言われたので、その言葉を信じて彼のスマホに番号を打ち込んだ。



「あ、もしもし。沢村です。いきなり電話してすみません。実は今……」



息切れしてる状態で通話はしたくなかったので、先輩に説明をお願いした。

敬語を話しているからか、電話している姿がもう社会人のデキる人に見えてきたよ。

きっと小さい頃から教育を受けてきてたんだろうなぁ。