中庭に入り、人混みに呑まれながらお店を探す。


はぁ、どうしてスマホを教室に置いてきちゃったんだろう。電話すれば一瞬なのに。

取りに行きたいけど、鍵かかってるしなぁ。
先生に言っても個人的な理由では貸してくれなさそうだし。

今周りに頼れる人がいないから、自力で見つけるしかない。



人混みを抜けてケーキ屋に到着。しかし、既に店番を終えていたようで、姿はなかった。

裏方でのんびりしている男子生徒に尋ねてみることに。



「あの、すみません。私、2年の雨村という者なんですが……夜城くん、どこに行ったか知ってますか?」

「ん? 夜城? あぁ、彼ならさっき、ケーキたくさん持って校舎に入っていったよ。なんか友達にプレゼントするって言ってた」



快く教えてくれた彼に感謝しつつも、すれ違ってしまったことに落胆する。

一足遅かった……。



「雨村さんだっけ? もしかして夜城の幼なじみ?」

「はい、そうですが……なんで知って……?」

「あいつ、待ち受けの写真幼なじみにしてるんだよ。さっきパン売りに来た人も幼なじみって言ってたな」