「ごめんごめん。それにしても、まさか鳥越くんも気づいてたとはね」
「ううっ、思い出しちゃうから言わないで……」
顔の傷が消えていたことに気づいてたと知った時は、本当に気まずかった。
だって、『へぇ、潤に治してもらったんだな』ってニヤニヤしてたわけでしょ⁉
いくら私が片想いしてるのを知っているとはいえ、恥ずかしすぎるよ……!
っていうか、ケガしてるって気づいてたなら言ってくれれば良かったのに。
でも、あの時時間ギリギリだったから、教える暇がなかったんだろうな。
「出張販売でーす。そこのお2人さん、パンいかがですか?」
すると、教室の窓から千冬がひょっこり顔を出した。首にはパンが入ったカゴがぶら下がっている。
「あ、鳥越くん! やっほー!」
「やっほー。1個100円ですよ。いかがですか?」
「100円⁉ 安っ! 買いまーす! 風花は?」
「私も買おうかな……」
野菜スープを飲んだが、お腹が膨れなかったので、塩パンを1つ購入した。



