新淵さんは先に来ているようで、2階で待機しているらしい。

階段を上がってソファー席へ向かうと、背筋を伸ばして読書をしている男の人を見つけた。



「こんにちは……。初めまして、2年の雨村です」

「こちらこそ、初めまして。宗星のクラスメイトの新淵です。今日はよろしくお願いします」



恐る恐る挨拶をした私に、新淵さんは穏やかに挨拶を返してくれた。


わざわざ立ち上がってお辞儀までしてる。

先輩の情報通り、とても誠実な人柄だとうかがえた。


3人でテーブルを囲むように着席し、雑談会という名の相談会が始まった。



「実は、もうすぐ彼女の誕生日で。何をあげたらいいか悩んでるんです」



話を切り出した新淵さん。


詳しく聞くと、新淵さんとその彼女は同じ小学校出身で、10年以上の付き合い。

当時から誕生日を祝っていて、小学生時代は文房具や食べ物、交際を始めた中学生からはアクセサリーや花など、交際記念日にも様々なプレゼントをあげてきたらしい。


そのため、どれも新鮮味がなく、ネタが尽きてしまったんだそう。