【番】小動物な後輩君の愛が深すぎる

「じっとして」



頭の横で両手首を拘束されて、目が合った。


いつもと違う、大人っぽい顔。

さっき押し倒された時よりも声が低くて、息が上がってて、トロンとしてて……。



「……何その顔。煽ってんの?」

「煽ってない……」

「じゃあなんで耳真っ赤なの?」

「それはそっちが……んっ……」



耳を指先でなぞられると、少し強引に口を塞がれた。

切なくて余裕がない表情に、角度を変えて何度も重なる唇に、だんだん体が熱くなる。


っく……苦しい……。



「っねぇ、そろそろ帰ってくるんじゃない?」

「大丈夫。6時に帰るって連絡来てたから」



唇を離し、酸素を補給する。


いつの間にか30分延長してたの?

っていうかお母さんも遅くない? そんなに渋滞しているの?



「清花さん、好きだよ」

「……私も。好き」



まさかグルじゃないよね? と不安に思いつつ、目の前の彼に短く愛を伝えた。


顔ゆるゆるになってる。いつもの透瑠くんだ。


コツンと額を合わせて視線を絡ませた後、さっきよりもちょっぴり長く唇を重ねた。



番外編 END