「由香ちゃんは何か知ってるの?」
「えぇ。伊鳥、昨日神崎太陽の応援に輝楽先輩と行ったんでしょ?」
由香ちゃんに聞かれた質問で、だいたい察した。
「うん、行ったよ」
「きっとファンからしてみれば、面白くないってところでしょうね」
あの時、太陽君のファンがいたもんね。
何で、こうなることを考えなかったんだろう……
「気をつけなさいよ、伊鳥」
「うん」
多分由香ちゃんがいるうちは何もしてこない。
由香ちゃんがいなくなってからだろうな……
「琴月伊鳥、いる?」
私の名前を呼ばれて教室の扉を見ると、上級生が。
リボンの色から3年生の先輩だって分かる。
今、ちょうど由香ちゃんいないからなぁ……
「はい、私です」
無視することもできたけど、クラスの人からの視線が感じたし、礼儀としてもよくないからと思って、立ち上がって返事をした。
そして、先輩のところまで行く。
……もちろん、覚悟はして。
「ふーん、あんたが……ちょっと来て」
「はい」
少し怖いなと思いながら、先輩についていく。
着いた場所は、人気のない踊り場。
「あの、何ですか?」
嫌な予感はしてる。



