距離はもちろん近い。
隣に座ってるから当たり前だろうけど、私の心臓はドキドキしてる。
さっき、手を引かれた時もそうだけど……
自分のことなのに、分からない。
いや分かってるけど、自覚したくないだけなのかもしれない。
にしても、輝楽さん的にこの距離大丈夫なのかな……?
女嫌いなのに……
いろいろなことを思ってる間に、太陽君が出てきて。
私と輝楽さんを見つけたみたいで、目が合った。
手を振ってくれたから、小さく振り返すと……
「今、太陽に手を振られた!」
「ううん、私によ!」
周りからそんな声が聞こえてくる。
太陽君ファンがいるってことだね……
まぁ、当然かな。
太陽君、人気者だし。
人気者は大変だなって思いながら、女の子達の声をどこか他人事のように聞いていた。
「太陽に水筒渡すの忘れてたから、後で渡さなくちゃいけないな」
隣で輝楽さんがそう呟いた。
太陽君のことをよく考えてる。
ほんと、輝楽さんって……
「輝楽さんっていいお兄さんですよね」
「……別に」
そっぽを向いてしまったけど、微妙に耳が赤くて。
照れてるんだなって分かって、少し笑う。
輝楽さん、可愛い……
「私1人っ子でしたからら輝楽さんみたいなお兄さんがほしかったです」
ポツリと漏れた本音。
でも、本当にそう思ったんだ。



