ちゃんと断らないと……そう思って口を開こうとしたその時。
「その子、俺の連れなんだけど」
後ろから見知った声が聞こえてきた。
輝楽さん……?
見てみたら、やっぱり輝楽さんで。
いつの間にか私の肩を抱いて、鋭く男の人達を睨み付けていた。
「あ、えっとすみませんでした」
「男、いたのかよ……」
男の人達は輝楽さんの威圧?に萎縮しちゃったみたいで、居心地悪そうに立ち去っていった。
「輝楽さん、ありがとうございました」
「いや、別に。それより、伊鳥ちゃんはやっぱりモテるね」
その顔は何故か面白くなさそうで。
キョトンとしながら、答える。
「モテてませんよ?」
「……もしかして、さっきのナンパだって気づいてない?」
「ナンパ?私、ナンパされてたんですか?」
確かに話を聞いてなさそうな感じだったけど、あれってナンパだったの……?
でも、私可愛くないのに……
「……無自覚にもほどがある」
小さい声で、でも明らかに呆れている顔。
何言ったのかは分からないけど、呆れられてるんだってことは分かった。
「えっと……」
「まぁ、いいや。それより、座ろう」
私の手を引いて、空いている席に座った。



