いつの間にか、君に恋していたんだ。



騒がれてる人はもちろん……


「それはありがとうございます」


輝楽さんだった。


営業スマイルをしっかりと浮かべて対応する輝楽さんにモヤモヤしてしまう。


お客さんなんだし、しょうがないってことは分かってるんだけど……


「キャー、マジかっこいいー!」


「あの、連絡先教えてくれません?」


「すみません、そういうのはちょっと」


連絡先の交換を断ってるのに安心したけど、モヤモヤは収まらずわだかまりみたいなのが残ったまま接客をした。


でも、多分上手くやり過ごせたと思う。


「はぁ、疲れた」


「お疲れ様です」


「ん。伊鳥もお疲れ様」


普通に言えてるかな……?


それが今は不安だ。


「伊鳥……?」


「えっ、あ、何ですか?」


慌てて笑顔を浮かべて聞くと、輝楽さんは腑に落ちなさそうな顔をしたまま首を横に振った。


「いや、何でも」


何か勘づいてるみたいだったけど、無理に聞こうとはしてこなかった。


こういうところは本当にいいなって思う。


「くしゅんっ……」


その時、間の悪いタイミングでくしゃみが出てしまった。


もう12月に突入したのに、マフラーを忘れた私はバカだと思う。


「くしゃみまで可愛い」


「くしゃみが可愛いって何ですか?」


そんなおかしな発言につい突っ込んでしまった。